シブすぎ技術に男泣き!

見ル野栄司 著 中経出版 出版社
2010年1月20日 初版
ISBN978–4–8061–3604–0

元メカトロニクスエンジニアという経歴を持つ漫画家だという著者。
中小企業のエンジニアにフォーカスし、苦労話や面白い話を展開していく。
著者はアーケードのゲーム機を作る技術をしていたと言う。

最初は特殊な技術を開発した会社へ取材に行き、開発にまつわる話を披露する。

数学的な回路縮小の趣味から会社を立ち上げた社長。
銀行に2時間説明し出資させ、3年間利益なしの会社を大きくしていった。

1本のスピーカーで実際にそこで演奏するかのように聞こえる不思議なスピーカー。
このアイディア理屈を思いついた社長の話。
3秒で思いついて3ヶ月で開発したとのこと。
既存の音響学に囚われない発想との事。

地下数千メートルの石油を探す検層技術を開発した会社。
ソニックセンサー、機械検層装置、水晶圧力センサー等を開発している。
難しい製品加工も日本人の職人技のベテラン技術者が活躍した。
今では人工衛星から探知出来るようになった。

次に日本の歴代の発明家の物語が語られる。

世界初電子式テレビの開発者、高柳健次郎。
テレビを発明し実用化させた功績の持ち主。
小学校時代は勉強も運動も出来なかった、落ちこぼれであった。
機械にはすごく興味を持っっていた。
家が貧しかったが様々な人の助けにより大学まで行く事ができた。
そして、ブラウン管を使った電子式テレビを開発しNHKへ移籍した。
戦争のため一時期開発を中断させられるが、終戦後、東京オリンピックをテレビで中継する事ができた。

乾電池を作った屋井先蔵。
丁稚奉公から身を起こし乾電池を発明し液体電池の時代を終焉させた。
時計屋で丁稚奉公しているうちに機械に強くなった。
働きながら猛勉強したが、寝坊のため試験会場の時間に間に合わず、高等学校の受験に失敗した。
その思いから時間の狂わない電動式時計を作ろうと決意する。
電動式時計を開発中、どうしても液体電池では使えるものが作れない事に気付き、乾電池の開発を始める。
乾電池は完成したが、それを必要とする機器が無いため最初は全く売れなかった。
しかし、日中戦争が起こり乾電池の需要ができた。
そのおかげで大量注文が起こった。
その後、電池は売れに売れ大企業となった。

後半は著者の体験談によるアーケードゲーム開発の様子が語られる。

スカイシューターというゲーム機の話。
著者はゲームの内容を見てきっと売れないだろうと感じた。
だが、会社の仕事なので私情は押さえて開発を行った。
紆余曲折があり、ボールが危険なほど飛び出したり、急遽ゴールキーパーなる人形のギミックを追加したり、スロットの表示方法を変えたりと。
メーカーの立会いの日になった。
メーカーの担当者は合格を出し、ゲームセンターでデモを行う事になる
ゲームセンターで3日間デモを行ったが誰もプレイせず3日が過ぎた。
ゲーム名を変えたりして置いてみたが結局、成績は振るわず地下室の倉庫行きとなった。

Tシャツにプリクラを印刷する新タイプのプリクラの話。
ほとんど完成したが、まだ不具合があり数人で調整中、次の日にデモをするとメーカーから連絡が入り未完成のままデモ会場へ搬入する。
最初何もTシャツへの印刷が全くできなかったがヒーターを交換して無事に印刷ができるようになった。
デモは意外にも好評で100台の量産が決定した。
そうした頑張りの中著者の勤めていた会社は倒産する。
そして、会社の技術者達はそれぞれの場所へ散っていった。
その後Tシャツプリクラは別の会社が完成させゲームセンターに置かれた。

といった技術者達の物語が数々語られている。
自分も以前エンジニアだったせいか、もの凄く共感させられた。
やはり、物作りは最高である。


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