テレビを見てはいけな 脱 ・奴隷の生き方自分たちが

苫米地英人 著 PHP新書
2009年9月29日 初版
  著者は脳機能科学者、認知心理学社、分析哲学者等の肩書きを持つ。
テレビや常識と呼ばれているものの中に意図して他人を洗脳しようとする内容が暗示されているという。
たとえばブームといったものを作り自分たちが売りたい商品を売れるように仕向けたり、報道で悪者と正義の味方(たいがいマスコミ)を作り感情論で視聴率を稼いだりといったことが行われる。
マスコミは常に視聴者を洗脳しようとしている。
マスコミ、資本家たちや財務省などの役人に有利な論調が常識なのだと宣伝し正しい事だと思わせる。
そうやって他人を無理やり操ろうとするからくりを解説してくれる。

第1章 テレビを見てはいけない

・テレビはつくり手と受け手がともに「進化」してきた
・視覚情報は最強の洗脳媒体
・脳の中の「臨場感空間」
・洗脳とは「内部表現」の書き換え
・テレビによく出る政治家が当選するのはなぜか
・政治家はテレビに出るな
・「キーホールTVが」もたらすインパクト
・日本のテレビは三秒遅れで放送される
・グーグルの弱点は「電力」
・あなたの銀行データはアメリカにある
・メディアをウォッチするメディア
・「御用メディア」ばかりの日本
・経営者から編集権を独立させなさい
・報道が追及すべきは悪人ではなくシステムの悪
・メディアは株式上場してはいけない
・安直なお笑い番組に費やされている膨大な社会のコスト
・テレビとの正しい向き合い方が立体的視点を養う
・インターネット情報の功罪
・視聴者が知らないテレビ世界の不透明な金の流れ
・新規参入できない日本のメディア
・英語力がメディアによる「洗脳」から身を守る
・私が「カリスマ」ブームを仕掛けた理由
・ブームはマニアから生まれる
・たった十数人が日本の世論を作っている
・自殺者増加の一端はテレビが担っている
・テレビ市場は開放すべき
・視聴率の真っ赤なウソ
・テレビは見るものからつくるものへ

第2章 脱・奴隷の生き方

・敵のパットを「入れ」と願ったタイガーウッズ
・無意識が「理想の自分」を追いかける
・犯罪者は子供のころから自己評価が低い
・ホメオスタシスとコンフォートゾーン
・コンフォートゾーンを上へとズラす
・本当のゴールの見つけ方
・現状に満足している人は洗脳されている
・無限の可能性を殺す「ドリームキラー」
・人間は今大切なものしか見ようとしない
・あんないい娘がダメ男に引っかかるのか
・コンフォートゾーンから外れるとIQが下がる
・相手を怒らせればディベートに勝てる
・成功イメージはモチベーションを上げる諸刃の剣
・知識の習得もホメオスタシスの一種
・スケジュールがいっぱいでないと不安な日本人
・お受験ママの「洗脳教育」
・マナー教育は正義の名を借りた「奴隷化」
・「郷に入れば郷に従え」は正しいのか
・ネクタイは「スコトーマ」の象徴
・それは、ほんとうにあなたがやりたいことですか

第3章 日本人はなぜお金にだまされやすいのか

・麻原がイケメンに見えていたオウム信者
・物理世界も目に映った情報に過ぎない
・臨場感を感じる三つの要素
・アスペルガーの人達の豊かな脳内空間
・人殺し以外なら何をやってもかまわない
・精神世界にも侵食する差別のシステム
・「空気を読め」は差別のシステム
・イギリスとアメリカの支配層教育
・日本の富裕層はニセモノである
・「お金がすべて」を徹底するからこそフェアなアメリカの金権政治
・なぜ日本人は借金をしつづけられるのか
・詐欺と化した資本主義
・お金で買えないものはある
 自分自身にも思い当たる事がいくつもあり、「ああ、あれも洗脳だったのか」と思い出す。
テレビの説教じみた話しや、会社でしきりにうるさく言われるマナーなどにも他人を操ろうとする意図がある可能性があることを理解して挑む必要がある。


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さらば、デフレ不況 日本を救う最良の景気回復論

この本が出版された頃の日本は自民党政権から民主党政権に変わり世の中の景気は相変わらず不況だった。
リーマンショックからの経済の痛みは癒えず何の対策も行われなかった。
この後、更にデフレは悪化し失業率は5%と最悪、株価も一万円以下に下がっていった。

巷にはニートやフリーター、非正規雇用が溢れていた。
メディアは国の借金問題、少子化、それに伴う年金の崩壊など日本終末という論調のニュースをしきりに報じていた。

政府はなかなか認めてこなかった、「現在の状況はデフレである」ことを認め、やっと重い腰を上げデフレ対策を行なおうとしていた。
御用評論家や御用エコノミスト達はテレビや新聞で毎日、国民に財政破たんの恐怖を訴えて怯えさせていた。

だが当時の与党、民主党は財務省の傀儡となりつつあり、正しい政策を打てずにいた。

そうした中、メディアや御用専門家たちの偏った報道や何もできない政治家たちへのアンチテーゼとしてこの本は出版された。

日本経済新聞や朝日新聞が大声で叫ぶ国の借金1000兆円や年金が破産するとの日本経済終了論。

政府や日銀の財政規律政策へ真っ向からの否定的な事実を図表を使い現実の数字を使って説明する。

デフレとはどういった状況なのか?
デフレの何が問題なのか?
なぜデフレになるのか?
デフレを脱却するにはどうしたらいいのか?

国の借金とはなんなのか?
財政黒字・財政赤字とはなんなのか?
GDPとはなにか?
GDPを増やすにはどうすればよいのか?
国信借金の限界とは?

お金とはそもそもどういったものなのか?
お金の創り方とは?
効果的なお金の使い方とは?

日本がまた復活するにはどうすれば良いのか?

デフレは物が安くなる→企業の売り上げが減る→国民全体としての給料が下がる→更に物が安くなる→更に企業の売り上げが下がる→更に給料が下がる

このような過程を経て国民の生活を直撃します。

「国家経済にもフローとストックが存在する。」
「誰かの負債は誰かの資産である。」
「誰かの支出は誰かの所得である。」

こんな当たり前の簡単なルールをすっかり忘れてしまう。

そういった様々な知っているようで知らない疑問が読めば理解できる。

お金はいくらでも刷れる。

そう、デフレの今ならお金はいくら刷っても良いのだ。
そんな当たり前な解決策を誰もが思いつかず、絶望させられていた。
そんな事を誰かに言おうものなら頭がおかしくなったのかというような目で見られた。

現在、2017年5月である。
本書が出版されてから7年が経過している。
この本で指摘されていることを現在、政策として与党自民党・安倍総理は「アベノミクス」として本書に書かれたリフレ政策を実施している。
そのおかげで、失業率は2・8%に改善され株価ももう少しで2万円に届こうかとしている。

お金を大規模に刷った。
日銀の大規模な金融緩和が功を成し、為替も当時80円代から110円まで回復した。

 財政出動がまだ足りなくデフレ脱出の道は未だ半ばだが、これから正しい政策が行われれば近いうちに日本は復活を果たすだろう。 この本で書かれているリフレ政策が正しかったことが段々と証明されつつある。


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